海外大学のエッセイと日本の志望理由書の違いとは?
「海外大学のエッセイと、日本の志望理由書は何が違うの?」「アメリカとイギリスでは同じ英語で書けばいい?」
帰国子女や海外在住の高校生から、こうした質問をいただくことがあります。
実は「エッセイ」という言葉が同じでも、アメリカ・イギリス・日本では、書く目的も評価されるポイントも大きく異なります。
アメリカでは「あなたはどんな人なのか」、イギリスでは「なぜその学問を学びたいのか」、日本では「なぜこの大学・学部なのか」が文章の中心になりやすいのです。
この記事では、海外大学・国内グローバル系大学の受験を考える方に向けて、3か国のエッセイの違いを比較しながら、帰国生が特に注意したいポイントまで整理します。
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「今の英語力でどの大学を目指せる?」「エッセイはいつから始めればいい?」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

TCK Workshop プレミアム講師。獨協高等学校を経て、早稲田大学国際教養学部(SILS)卒業。 オーストリア・ドイツへの留学経験を持つ国際派でありながら、中学・高校入試の全科目(英・国・数・社・理)を指導できる稀有な「オールラウンダー」。 SILSで培った広い教養と論理的思考力を活かし、SAT対策や大学入試の小論文・志望理由書指導において、合格を引き寄せる「書く力・考える力」を徹底的に鍛え上げる。
【関連記事】海外大学受験の際のエッセイについてはこちらもご覧ください。
3か国のエッセイは何が違う?まずは全体像を比較

「エッセイ」と聞くと、どの国でも「自分のことを書く文章」と考えがちです。しかし、実際には大学がエッセイを通して確認したいものが違います。まずは形式と目的を整理してみましょう。
| 項目 | アメリカ | イギリス | 日本(国内グローバル系) |
| 呼び名 | Personal Statement/Supplemental Essays | Personal Statement | 志望理由書/自己推薦書/自由記述/自己活動歴/小論文など |
| 提出形式 | Common App+大学ごとの補足エッセイ | UCAS | 大学指定の書類・試験 |
| 分量 | Personal Essay 250〜650ワード。補足は大学ごとに異なる | 合計4,000文字以内 | 大学・学部によって異なる |
| テーマの自由度 | 比較的高い | 3つの設問に沿って記述 | 大学・学部ごとに異なる |
| 重視される点 | 人柄、価値観、経験からの成長 | 志望分野への関心と学術的準備 | 志望理由、活動、入学後の学び |
| 出願システム | Common App | UCAS | 大学ごと |
| 特徴 | 複数大学への共通エッセイ+大学別設問 | 最大5校に同じPersonal Statement | 大学ごとに書類・試験内容が大きく異なる |
アメリカのCommon Appでは最大20校を登録でき、Personal Essayに加えて大学ごとの質問やWriting Supplementが設定される場合があります。2026-27年度もPersonal Essayは250〜650ワードです。
一方、UCASではPersonal Statementが3つの質問に分かれています。合計4,000文字以内で、各質問には最低350文字が必要です。3つの回答は別々に評価されるのではなく、全体として読まれる仕組みです。

アメリカのエッセイは「あなた自身」を伝える

アメリカのPersonal Essayで意識したいのは、「すごい経験を書くこと」よりも、「その経験から自分がどう変わったか」を伝えることです。
Common Appでは、背景やアイデンティティ、興味、才能、困難、失敗、成長などをテーマにした設問から選択して文章を作ります。つまり、エッセイそのものが「実績一覧」ではありません。
例えば「海外留学を経験しました」と書くだけでは、読み手にとっては事実の説明にとどまります。
そこから、
「現地でどんな壁にぶつかったのか」
「そのとき自分はどう考えたのか」
「以前とは何が変わったのか」
まで掘り下げることで、その人ならではの文章になります。
さらに、アメリカでは大学ごとのSupplemental Essaysもあります。
「Why Us」「Why This Major」のように、大学や専攻との適合性を問う設問が置かれるケースもあります。そのため、Personal Essayでは自分自身を伝え、Supplementalでは大学との接点を具体化するという使い分けができます。
イギリスは「その学問を学ぶ準備」が中心

イギリスのPersonal Statementでありがちな失敗は、「自分がどんな人間か」を一生懸命説明しすぎることです。UCASでは、それ以上に「その分野を大学で学ぶ準備ができているか」が伝わる文章が求められます。
2026年入学以降のUCAS Personal Statementは、次の3問で構成されています。
- なぜこのコース・分野を学びたいのか
- これまでの学習や資格が、どのように準備につながったか
- 学校教育以外で、どのような準備をしてきたか
ここで大切なのが「経験→学問」というつながりです。
例えば医学志望なら、病院でボランティアをした事実だけを書くのではなく、その経験から医学についてどのような疑問を持ったのか、さらに何を調べ、何を学びたいと思ったのかまで発展させます。
読書、研究、講演、オンライン学習など、授業外で志望分野を深める「supercurricular」の経験も、文章を具体化する材料になります。
UCASも、経験を単純に並べるのではなく、志望する科目との関連性を示すことを案内しています。
【関連記事】イギリスの大学に進学されたい方についてはこちらもご覧ください。

日本の総合型選抜は「大学との接続」が重要
日本の総合型選抜では、志望理由書、自己活動歴、小論文など、複数の書類を組み合わせる形式が多くあります。
ここで特徴的なのは、大学・学部によって「何を書くのか」が大きく変わることです。
例えば慶應義塾大学SFCでは、志望理由・入学後の学習計画・自己アピールに加え、自由記述などを組み合わせて自分を表現する形式が採用されています。
国際基督教大学(ICU)の2027年度総合型選抜では、英語外部試験利用方式で1,500字以内の小論文、800字以内の自己活動歴と自己分析などが出願書類に含まれています。
また、国際教養大学(AIU)の総合選抜型入試では、提出書類だけでなく英語小論文と日本語・英語の面接も選考に含まれています。英語小論文では基礎学力、思考力、表現力が評価対象です。
早稲田大学国際教養学部(SILS)の2027年度AO国内選考も特徴的です。書類審査に加え、120分のCritical Writingと30分の「志望理由に関するエッセイ(日本語)」を実施します。
つまり、日本の大学受験では「きれいな志望理由書を作る」だけでは十分とは限りません。出願書類と当日の記述試験、面接などを一つの受験戦略として考える必要があります。
帰国生が特に注意したい「国別エッセイのズレ」
海外経験のある生徒ほど、英語力が高いからエッセイも得意だと思われがちです。しかし、実際にはそうとは限りません。
現地校で身につけた文章力が、そのまま日本の大学入試に対応できるとは限らないからです。
例えば、
- アメリカ向け:経験から自分の価値観や成長を伝える
- イギリス向け:経験を学問への興味・準備につなげる
- 日本向け:経験を大学・学部での学びや将来像につなげる
というように、同じ「留学経験」でも見せ方が変わります。
特に危険なのは、アメリカ型の「自分らしさ」を重視した文章を、そのままイギリスの大学に提出することです。逆に、日本式の「なぜこの大学なのか」を中心にした文章を、アメリカのPersonal Essayにすると、本人の人間性や内省が十分に伝わらない可能性があります。
TCK Workshopでは、帰国生大学受験において、英語そのものだけでなく「どの入試で、何を評価される文章なのか」を整理することを大切にしています。

エッセイ対策は「書き始める前」の準備が差になる
エッセイ対策では、いきなり本文を書く必要はありません。
まずは次の3つを整理してみましょう。
- これまでの経験を時系列で書き出す
- その経験で考え方が変わった瞬間を探す
- 志望分野と自分の経験の接点を探す
アメリカ志望なら「自分はどんな人なのか」。
イギリス志望なら「なぜこの学問を深く学びたいのか」。
日本の総合型選抜なら「なぜこの大学・学部で学ぶ必要があるのか」。
この問いを先に決めてから素材を選ぶと、文章の方向性がぶれにくくなります。
また、エッセイは一度書いて完成するものではありません。UCASも、最後まで先延ばしにせず、複数回のドラフトを作ることや第三者からフィードバックを受けることを勧めています。

エッセイ対策で最も大切なのは、英語の文章をきれいに書くことだけではありません。「その大学が、なぜエッセイを書かせているのか」を理解することがスタート地点になります。
まとめ
- アメリカは「自分はどんな人なのか」を伝えることが中心
- イギリスは「なぜその学問を学びたいのか」を具体的に示す
- 日本は「経験・活動・志望理由を大学での学びにつなげる」ことが重要
- 同じ経験でも、志望国によって文章の見せ方は変わる
- 帰国生は英語力だけでなく、入試ごとの「評価される書き方」を理解する必要がある
アメリカ・イギリス・日本の大学受験を比較すると、「エッセイが上手い人」とは、単に英語や日本語の文章力が高い人ではないことが見えてきます。
自分の経験を整理し、志望する大学・学問との接点を見つけ、それを相手が評価できる形に変換する力が必要です。
TCK Workshopの無料学習相談では、帰国生・海外在住生の大学受験について、エッセイ、英語資格、出願準備などを含めて一人ひとりの状況に合わせてご相談いただけます。志望校がまだ決まっていない段階でも、まずは現在地と今後の準備を整理するところから始めてみましょう。
