IBDPの科目選択――それはあなたのIBDPの最終成績、いわばあなたの将来を大きく左右するとても重要なものです。
そんな中で、比較的人気なGroup3の科目がEconomics(経済学)ですが、「経済学ってなんかかっこいい!」や「なんとなく将来役立ちそう…」という漠然としたイメージで履修を決める人が多いようです。
しかし、適当なイメージで科目選択を行うのはとても危険です!
そこでこの記事では、「Economicsってどんなことを習うの?」「SLとHLの違いは?」「IAではどんなことをやるの?」といった率直な疑問にお答えする形で、IBDPのEconomicsの概要をご説明します。
この記事を読めば、あなたの科目選択のヒントが見つかるはずです!
疑問その1:「Economicsって、どんなことを習うの?」
IB経験者の答え:「身の回りの経済活動から世界経済の動きについてまで、幅広く論理的に学習します!」
「Economicsって一体どんな学問なの?」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
経済学とは、私達を取り巻く経済や経済活動の仕組みについて、モデルを用いながら研究する学問です。
もう少し具体的に分かりやすく説明すると、私達の日常生活における物の売買の仕組みや価格との関係、あるいは、経済全体の物価の変動などについて分析する学問だと言えるでしょう。
IBDPのEconomicsは4つのパートに分かれていて、それぞれのパートでは以下の表にあるような内容を学習します。
パート | 説明 | 単元(一部) |
---|---|---|
Microeconomics (ミクロ経済学) | 個人や企業の行動や意思決定がどのようになされるかを分析・考察する | Demand and supply(需要と供給) Market failure(市場の失敗)など |
Macroeconomics (マクロ経済学) | 政府や企業、個人を含む経済社会全体の動きについて分析・考察する | Aggregate demand and aggregate supply(総需要と総供給) Monetary policy(金融政策)など |
International economics (国際経済学) | 国同士の経済活動についてミクロ・マクロの視点から分析・考察する | International trade(国際貿易) The balance of payments(国際収支)など |
Development economics (開発経済学) | 発展途上国の経済問題について分析・考察する | Economic development(経済発展) Measuring development(経済発展の測定)など |
疑問その2:「Economics SLとHLの違いは?どっちを取るべき?」
IB経験者の答え:「HLでは習う範囲が広くなり、試験の数が増えます。筆者はHLをおススメします!」
Economicsに興味を持っている方の中には、「どっちレベル(SLかHLか)にしよう?」と迷っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
まずは、SLとHLの違いを簡単にご説明します。
第一に、HLでは、SLでは習わないような理論を追加的に学習します。具体的には、上の表のMicroeconomics、Macroeconomics、International economicsの3パートにおいて、HLではSLよりも広い範囲を扱います。
Microeconomicsを例にとると、HLにはTheory of the firm and market structures(企業と市場構造)という単元が追加されます。より詳しいことを知りたい方は、IBOのSubject Guideを参照してください。
そして第二に、HLでは最終試験の数が1つ増えます。IBDPのEconomicsでは、SL・HL共ににPaper 1 (MicroeconomicsとMacroeconomicsについて問うもの)とPaper 2(International economicsとDevelopment economicsについて問うもの)が科されますが、HLでは、これに加えてPaper 3と呼ばれる主に計算問題が並ぶ試験が追加されます。
そう聞くと「HLは大変そう…」とお考えになるかもしれませんが、筆者はHLの履修をおススメします。
なぜなら、Economicsは例えばScience系科目などと比較してもSLとHLの違いがそれほど大きくないからです。
学習範囲に関しては、HLに追加される単元数がそれほど多くありません。また、HLのみに科されるPaper 3は、かなり対策がしやすいです。
この試験は数学的な能力を問うものではなく、学習した理論に沿って単純な足し算、引き算、掛け算、割り算の式が立てられれば問題なく解くことが可能です(関数電卓も持ち込み可です)。Paper 3は、Paper 1やPaper 2と比べても「形式に慣れること」が高得点に繋がるので、しっかり対策さえすれば心配ご無用です!
疑問その3:「EconomicsのIA(内部評価)ではどんなことをやるの?」
IB経験者の答え:「授業で習った理論に関連するニュース記事を分析・考察する内容のコメンタリーを書きます!」
IBDPの科目選択では、自分が履修する科目のIAの概要を把握しておくことが重要です。Economicsでは、SL・HLともに最終成績の20%がIAで決まります。
EconomicsのIAでは、「授業で扱う理論が実際に世の中で起きていることにどのように当てはまるのか」について、ニュース記事を使ってコメンタリーを書きます。
生徒は、上の表にあるトピック(Microeconomics、Macroeconomics、International economics、Development economics)に関連するニュース記事を自分で探し、記事の内容を要約したり、そのニュースが当てはまる理論についてDiagram(図)を使って説明したり、そのニュースに対するEvaluation(評価)を行ったりしながら750字のコメンタリーを合計3つ書きます。
一見難しそうですが、良い記事さえ見つけられれば、コメンタリーを書くこと自体はそれほど難しくありません。(コメンタリーの構成などについては、IBOのSubject Guideを必ず確認するようにしましょう。)
そして何よりも、自分が授業で習った理論が現実社会に当てはまっていることを実感できるこのIAは、やっていてとても楽しかったです!
まとめ
いかがでしたか?IBDPのEconomicsの概要をまとめると、
- IBDPのEconomicsでは、身の回りの経済活動から世界経済の動きについてまで、幅広く論理的に学べます!
- SLとHLでは習う範囲や試験数が異なりますが、レベル間の差が比較的小さいので、筆者はHLの履修をおススメします!
- IAでは、授業で習った理論に関連するニュース記事を分析・考察する内容のコメンタリーを書きます!
また、IBDPのEconomicsでは、経済学の基礎的な理論を体系的に学べるので、大学で経済学を学びたいと考えている方には、強く履修をおススメします!
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