慶應義塾大学は帰国生にとっての人気校のひとつであり、最難関校のひとつでもあります。

慶應義塾大学の受験を検討されている方も多いと思いますので、帰国生入試の募集情報とともに見逃してはいけないポイントやTOEFL・SATといった試験を受ける時期などについてのアドバイスをご紹介していきます!

注意点

入試の募集要項は随時アップデートされますので、出願時には必ず公式HPから最新の情報をご確認ください。

出願条件など出願に直接関する質問・疑問点は大学までお問い合わせください。

帰国生入試問い合わせ先
  • 帰国生入試事務局
    • 出願資格や統一試験に関する質問
    • 問い合わせ先アドレス : admissions@info.keio.ac.jp
      • メールの件名は「20×× / 20××年度帰国生対象入試問い合わせ_ ○○」とし、○○部分には氏名を挿入してください。
      • メール本文には、問い合わせ内容に加え、氏名および志望学部を必ず記載してください。

帰国生受験

帰国生受験は例年、7月中旬頃に出願が受付されます。それまでに必要な試験を受験し、資料を集める必要があります。

この試験受験や資料集めは意外と長い時間がかかります。なぜなら、試験を出願前に受けるのはもちろん試験対策の時間が必要ですし、試験はいつでも好きなときに受けられるわけではないからです。

さらに、資料は通っている高校などの機関に発行依頼をしなければいけないものもあり、自分が想定しているより発行までに時間がかかることがあります

ですので、高校のカリキュラムが終わるころに出願準備を始めると間に合わないことが多いです。

特に、慶應義塾大学は出願書類が全てそろっていないと出願を受け付けません

帰国子女試験の準備はとにかく早めに始めることが肝心です。

出願資格

帰国生入試の応募資格は全学部共通の条件と学部ごとの条件があります。志望学部の条件を個別にしっかり確認してください。

そして、志望学部を選ぶときには以下の条件を確認してください。

  • 学部の併願は可能だが、総合政策学部と環境情報学部の併願は不可
  • 同一学部内の学科や学門の併願は不可

全学部共通出願資格

まずは全学部共通の条件を確認していきます。

出願者は下の①から⑥の全てを満たす必要があります。

全学部共通出願資格
国内外を問わず通常の学校教育課程12年以上を修め、かつ海外において外国の教育課程に基づく高等学校に最終学年を含め2年以上継続して在籍し卒業した者および卒業見込みの者
※経済学部、および商学部はこれに代わる条件あり (以下の学部別出願資格参照)
9月入学希望の場合、その年の9月21日までに高等学校を卒業した者および卒業見込みの者
(例) 2022年9月入学希望の場合、2022年9月21日
4月入学希望の場合、その年の3月31日までに高等学校を卒業した者および卒業見込みの者
(例) 2023年4月入学希望の場合、2023年4月21日
滞在国・地域の学校教育制度に基づく大学入学資格を有する者
TOEFL® iBT もしくはIELTS Academic Moduleを受験し、試験結果を提出することができる者
滞在国や教育制度等に関わらず、全出願者の提出が必須
各国の大学入学に必要な国家試験等の統一試験、またはこれに準ずる試験を受験し、試験結果を提出することができる者
※理工学部はこれに代わる条件あり
過年度に出願していない者

全学部共通の出願条件での注意点は、英語資格の試験スコアが全員提出であることと、過去に慶應義塾大学に出願したことがあると出願できないということです。

英語資格の試験スコアはかなりの期間をかけないと目標スコアに到達しないので、計画的に勉強・受験を進めてください。

特に、慶應義塾大学では出願者のスコアが高得点であることが多いので、しっかりスコアメイキングしていく必要があります。

学部別出願資格

学部条件
文学部共通条件のほかに次の条件を満たすこと
・日本国籍を有する者、入管法による「永住者」の在留資格をもつ者、または入管特例法による「特別永住者」
経済学部共通条件①を満たさない場合(日本の高等学校・中等教育学校、または日本国内の外国系高等学校を卒業した者および卒業見込みの者)は、次のいずれかの条件を満たすこと。
1. 海外において、外国の教育制度に基づく高等学校に2年以上継続して在籍した者
2. 海外において、外国の教育制度に基づく中学校から高等学校にわたっての在籍年数が通算4年以上の者
※同一年度内に経済学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試の両方に出願することはできない。
※帰国生対象入学試験による経済学部入学者に対しては、入学後のPEARLプログラムへの変更は認めない。
法学部※同一年度内に法学部が行う帰国生対象入学試験と国際バカロレア資格取得者(日本国内)対象入学試験の両方に出願することはできない。
商学部共通条件①を満たさない場合(日本の高等学校・中等教育学校、または日本国内の外国系高等学校を卒業した者および卒業見込みの者)は、次の条件を満たすこと
・海外において外国の教育制度に基づく高等学校に2年以上継続して在籍した者
※同一年度内に商学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の両方に出願することはできない。
医学部共通条件のほかに次の条件を満たすこと
・日本国籍を有する者、入管法による「永住者」の在留資格をもつ者、または入管特例法による「特別永住者」
※同一年度内に医学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の両方に出願することはできない。
理工学部共通条件⑤を満たさない場合は、次の条件を満たすこと
・「統一試験提出に関する理由書」(大学所定用紙)を所定の期日までに提出し、審査を受けた結果、個別に出願資格を認めた者
※同一年度内に理工学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の両方に出願することはできない。
総合政策学部※同一年度内に総合政策学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の両方に出願することはできない。
※帰国生対象入学試験による総合政策学部と環境情報学部の併願はできない。
環境情報学部※同一年度内に総合政策学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の両方に出願することはできない。
※帰国生対象入学試験による環境情報学部総合政策学部の併願はできない。
薬学部共通条件のほかに次の条件を満たすこと
・日本国籍を有する者、入管法による「永住者」の在留資格をもつ者、または入管特例法による「特別永住者」
同一年度内に薬学部が行う帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の両方に出願することはできない。

学部別の条件では、帰国生対象入学試験と外国人留学生対象入学試験の併願ができない学部がほとんどであることが注意すべき点です。

学部をまたいでの併願が通常認められるのに対し、総合政策学部と環境情報学部(このふたつの通称はキャンパスの名前からSFC)の併願は認められていません。帰国生入試ではSFCは人気ですので注意してください。

経済学部は帰国生入試で入学した後に、PEARLプログラムに変更することはできません。

PEARL (Programme in Economics for Alliances, Research and Leadership) とは、英語で経済学を学び、4年間で学位取得ができる9月入学のプログラムのことで、しっかりした経済学の知識を基礎に世界を舞台に活躍する、先導者の輩出を目的としているもの。

必要な英語資格・統一試験

次は出願前に用意しておくべき試験スコアについて見ていきましょう。

慶應義塾大学合格を目指すためには、試験で高得点を取ることが期待され、このスコアが出願に間に合わないという事例が後を絶たないのでしっかり事前に確認しておきましょう。

英語資格試験

慶應義塾大学の帰国生入試では、滞在国や教育制度に関わらず英語力を証明する試験スコアの提出を全員に要求しています。

慶應義塾大学は公式の英語資格試験の基準スコアを設けていません。しかし、毎年合格者の平均スコアはかなり高くなっており、しっかり対策が必要です。

資格試験TOEFL®︎ iBT もしくはIELTS Academic Module
目標スコア(非公式)・ TOEFL 100点以上
・ IELTS 7.5以上

スコアは有効期限があり、大学が指定した期間に受験したものしか認められないので、募集要項でしっかり確認してください。また、スコアが期限内に大学に到着するように手配するためにも試験スコアは早めに達成する必要があることも心に留めておく必要があります。

TOEFL 100点 / IELTS 7.5点はとても高いスコアです。

例えば、TOEFLは120点満点で、Reading / Listening / Speaking / Writingがそれぞれ30点満点です。ここで20点以上落とせないとなると、それぞれのセクションで失点してもよいのはほんの少し。根本的な高い英語力だけでなく、試験における正確性も重要となります。

特に、点数が高くなるほど、少しのスコアアップも大変になってきます。英語圏で育った人でも90点から100点に伸ばすのに3ヶ月以上かかるということは珍しくありません。

TOEFL 100点 / IELTS 7.5点という点数を取得するためには出願の1年以上前から準備を始めるのがおすすめです。

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統一試験

慶應義塾大学帰国生入試では英語力を示す試験に加え、統一試験の結果も提出することが必要です。

統一試験は滞在国やカリキュラムによって変わりますが、ここではSATとIBについて確認していきます。

SAT

SATはReasoning Testが提出必須となっています。Reasoning TestはEnglishとMathで構成されています。

まだSATについてあまりご存知ない方はあわせてこちらもご覧ください。

SATはSubject TestとEssayというテストもあり、慶應義塾大学はこれらを任意提出としていました。しかし、これらのテストは今後実施されないことがSAT運営団体のCollege Boardから発表されました。

これにともない慶應義塾大学は2022/2023年度からSAT Subject Test / Essayの提出を廃止し、たとえ提出しても選考の対象にしないことを発表しました。

ですので、SATはReasoning Testのみ対策することになります。

SATはTOEFL / IELTSと同様、慶應義塾大学帰国子女入試では基準点はありません。しかし、合格者は概して高いスコアを提出しているので、合格を狙うためには同じく高得点を目指すことになります。

統一試験SAT
目標スコア(非公式)1350点以上。1400点以上が理想的。

SAT EnglishはTOEFL / IELTSに比べかなり難しいです。使われている単語はもちろん、内容もかなりレベルが上がります。

MathはEnglishに比べ得意な人も多いですが、それでも高得点を狙うなら時間配分と計算力、正確性が求められ、短期間の対策で目標スコアに届く人は少ないです。

TOEFL 90のスコアが取れる人がSATを受けると1250-1300くらいのスコアになることが多いとされています。これだけを見ると残り100点くらい上げればよいだけなのでそれほど難しく見えないかもしれませんが、SATは1300点を超えてくるとスコアが急に上がりにくくなります

慶應義塾大学は英語資格試験も統一試験も両方必須提出となっていますので、計画的に学習を進めてください。

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慶應義塾大学帰国子女入試におけるSATの注意点は以下の通りです。

SATにおける注意点
  1. SATは毎月受験できるわけではないこと
  2. Superscoreは認められないこと
  3. スコアは受験生を経由せず、College Boardから直接大学に送ること

SATは3・5・6・8・10・11・12月の年7回実施されています。スケジュールは受験国によって異なる可能性があるのでご注意ください。

SATのスケジュールと登録
College Board

Superscoreとは複数科目受験した試験の一部だけを採用することです。例えば、1日でSAT EnglishとSAT Mathを受験して、EnglishのスコアがよくMathのスコアがあまりよくないときに、Englishのスコアだけ採用してもらうことはできません。

1日に受験したEnglishとMath両方のスコアを提出しなければならないので、両方の科目で納得のいくスコアが取れるように何度か受験できるように計画しておく方がよいです。

SATのスコアは送付依頼をしてから大学到着までに6週間ほどかかることがあるので、早めに提出してください。7月に開始される出願に合わせるのであれば、受験できる最後のSATは5月になることが多いです。

IB

慶應義塾大学の帰国子女入試ではIBを利用することもできます。IBでの注意点は以下の通りです。

IBにおける注意点
  1. 利用できるのはIB Diploma (IB Certificateは認められない)であること
  2. 見込みスコア(Predicted Grades)は認められないこと
  3. 学部ごとに科目の指定をしていることがあること
  4. 成績評価証明書はIB試験本部から大学へ直接紙媒体で送付すること(電子媒体は×)

慶應義塾大学の帰国子女入試で合格を目指すのであれば、IB最終スコアは36-38ほどあるとよいでしょう。

IBは長期戦になるので、こちらも科目選択の段階からしっかり計画を立て、学習していきましょう。

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さいごに

いかがでしたか?

慶應義塾大学は帰国子女入試における最人気・最難関校のひとつなので、かなり厳しい戦いになります。

しかし、時間をかけて準備すれば合格の可能性は高まります。

英語資格資格や統一試験の勉強は計画的に、そして、勉強でお困りのことがあれば適切なサポートを得るようにしてください。

慶應義塾大学帰国子女入試まとめ
  • 出願開始は例年7月
  • 学部の併願は可能だがSFC内は不可
  • 試験を含め数年単位で準備
  • 統一試験ではハイスコアが必要