はじめに――啓明学園中学について
啓明学園は1940年に創立され、開学当初から生徒8名全員が帰国生でした。そのため、帰国生教育にとても力を入れている、歴史の長い帰国生受け入れ校です。
実際に啓明学園中学・高等学校に通っている帰国生はとても多く、現在も約35%の生徒が「国際生」(帰国生や外国籍の生徒)で、出身国は約40カ国に上る国際色豊かな学校です。
今回は歴史の長い帰国生受け入れ校の啓明学園中学の帰国生入試にスポットライトを当てつつ、同校の
- 国際プログレスクラス
- グローバル教育
- 入試情報
- 編入試験情報
について、ご紹介します!
今回は、まずは啓明学園の国際教育部主任にお話を伺うことができましたので、はじめにご紹介します!
能城 黎
啓明学園中学・高等学校 国際教育部 日本語国語科
私自身アメリカからの帰国子女であり、中学校2年生の夏に生徒としてこの啓明学園に編入学しました。帰国生が直面する、国やことばの移動に伴う様々な壁を経験した一人です。その経験を活かすために、日本語教育の道に進み、公立や他の私立学校を経由し、7年前に教師として戻ってきました。

現在も啓明学園には、帰国生をはじめとした海外のバックグラウンドを持つ生徒たちが多く通っています。それは帰国生にとって「わたし」を出しやすい環境であるということです。そして、「ひとと違う経験」を活かす場が多くあります。
もし、皆さんが困難や悩みに直面したときには、その心に共感し、励まし合うことのできる「仲間」と必ず出会うことができます。
また、学習面では他校にはない十全なサポート体制を整えています。ぜひ一度啓明学園に足を運んでみてください。
帰国生にぴったりな啓明学園中学の国際プログレスクラス
啓明学園中学は帰国生受け入れ校として国際プログレスクラスがあり、帰国生の学びを支えるための様々な工夫がされています。
国際プログレスクラスでは「自己肯定感を育む」「ピアサポートの環境を保障する」「ことば全体を支える」という3つのポリシーをもとに、帰国生の学びを支えています。実際どのような仕組みになっているのか見てみましょう。
国際英語クラス
多くの人は啓明学園では英語がどのように学べるのか気になっていると思います。啓明学園の英語は全て習熟度別で行われており、上位2クラスが「国際英語クラス」となっています。
その国際英語クラスは2つのレベルに分けられており、Honours ClassとRegular Classがあります。
参考に、Honours ClassとRegular ClassのTOEFL ITPの過去3年の平均点をみてみると、
クラス | 中学1年 | 中学2年 | 中学3年 | 高校1年 | 高校2年 |
---|---|---|---|---|---|
Honours Class | 534 | 575 | 573 | 592 | 606 |
Regular Class | 454 | 491 | 490 | 518 | 547 |
でした。また、2024年度高3生の英検取得率をみると、
クラス | 準1級取得率(高校3年) | 1級取得率(高校3年) |
---|---|---|
Honours Class | 94% | 69% |
Regular Class | 84% | 7% |
となっていました。
どちらのクラスもアメリカやイギリス、オーストラリアで教鞭をとっていたネイティブ教員が担当し、欧米のカリキュラムに沿ったシラバスに基づいて授業が行われています。授業では古典文学、現代文学、スピーチ、ディベート、ドラマ、詩、映画、短編小説、個人プロジェクトワークなどを行うそうで、海外で身につけた英語力をさらに伸ばせる環境があります。

英語が国内生とは別のクラスだと、同じレベルの英語力の生徒と一緒に成長しながら勉強できると思います。

- Q中学・高校の6年間を経て、どんな生徒に成長してほしいですか?
- A
海外で得た自己の経験を肯定的に捉えることができ、啓明学園が目指している「世界を心に入れた人」として、世界市民・ピースメーカーの役割を果たそうとする生徒に育ってほしいと思っています!それに向けた様々な取り組みを行っていますので、ぜひこの後もチェックしてみて下さい!
国数理社の取り出し授業
啓明学園中学では、英語だけでなく、国語、数学、理科、社会でも取り出し授業が行われています。一人ひとりの日本語力や学習歴にもとづいて、どの授業で取り出しが必要かを判断し、オーダーメードで時間割ができるのです!
オーダーメード時間割はとても珍しいと思います。
この環境であれば、まさに一人一人にあった学習ができますね。この国際プログレスクラスでは、徐々に通常クラスと同じ学習ができるように、サポートをしてくれます。
日本語コース
在日外国人の生徒だけではなく、海外生活が長かった生徒も受けられる、日本語コース(JSL: Japanese as Second Language)があります。日本語教育を専門に学んだ経験豊かな教員が授業を担当し、個別にカリキュラムを組んでいきます。
帰国して、日本語が本当に心配な方は、丁寧なサポートがあるので、安心できますね。
外国語保持クラス
「ことば全体を支える」という点では、外国語保持クラスというのがあります。
帰国生の中では、英語圏以外で暮らしていた方ももちろん多いので、外国語保持クラスで国際生の海外で身につけた言語力を維持・向上できます。
2024年度時点では、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語のクラスがありました。このクラスも全てネイティブ教員が担当しています。
このように、英語以外の言語のサポートもある環境はとてもありがたいですね!
グローバル教育
啓明学園中学では、国際プログレスクラスとは別に、学校としてグローバル教育を大事にしています。具体的にどのようなことを行っているかみてみましょう。
グローバルワークショップ/国際理解
中学校では毎年、特定の国や地域をテーマにして、様々な課題と向き合い、話し合い、プレゼンをする「国際理解の日」という行事が2月にあります。それに向けたワークショップも行っており、異文化理解を深めます。帰国生にとっては海外生活の経験を活かす良い機会となっています。
ここでの経験や学びが、高校での「探求学習」につながります。
また、高校3年生は選択科目の中に「国際理解」という授業があります。
世界における課題について学習し、対策案を導き出します。世界で現実に起きている問題について、今の自分たちに何ができるかを考えるきっかけになりますし、帰国後も、このように学校内で日本以外の問題に目を向け、学習できる機会があるのは大事ですね。

第2外国語
こちらも国際学級、一般学級関係なく、選択授業として、高校2年から高校3年の生徒は、中国語、韓国語、フランス語を選択制で勉強することができます。
国際的な言語力を身につけたい方にはおすすめです!
ラウンドスクエア
世界50ヶ国の私立学校が加盟している国際的な私立学校連盟「ラウンドスクエア」に啓明学園中学は2018年加盟しました。加盟することにより、加盟校同士の交換留学、オンラインミーティング、国際会議への生徒派遣などが行われています。校内においては、その活動の一環として、「イングリッシュキャンプ」や「チャイナデイ」などのイベントを生徒自治で開催されています。
海外研修プログラム
啓明学園は短期の海外研修(サイパン、バリ、カンボジア)から長期の留学プログラムまであり、高校生ではオーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、カナダに留学することができます。
このようなプログラムは、英語を現地で使いながら、文化も知れる、貴重な機会ですので、積極的に参加すると良いでしょう。
今回紹介しきれなかった留学プログラムの詳細やグローバル講演会、スピーチコンテストなど、たくさんあるので是非パンフレットを参照ください!

啓明学園中学の帰国生入試について
最後は、啓明学園中学の帰国生入試についてです。
啓明学園中学では、3種類の型から選べる帰国生入試(12月、1月)があります。自分の強みを活かせる入試方法で、受験を試みるのも良いと思います。ここでは、その3種類を紹介します!
出願資格 | ・1年以上海外の学校に在籍し、原則として帰国後3年以内の者 ・保護者のもとから通学できる者 ・本校の教育方針を理解する者 |
英語型
試験科目 | 【英作文】40分 【日本語作文】40分 【面接(日本語・英語)】各10分程度 |
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英語圏の国の現地校や海外インターで学んできた生徒を対象とした入試です。学科試験なしで受験できるのが特徴的です。
*国際英語クラスへのプレイスメントテストを兼ねているため、国際英語クラスを目指す方はこの入試方法での受験が必須です。ただし、準国際クラスや一般英語クラスへのスライド合格も有ります。
日本語型
試験科目 | 【学科試験】「国語・算数」/「国語・英語」/「算数・英語」より選択(各50分) 【面接】日本語(10分) |
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得意な2科目で受験できるのが特徴的です。啓明学園の「日本語型」入試には、英検による加点制度(3級保持 20点、準2級以上保持 50点)があります。海外の日本人学校に通っていた方、あるいは英検を利用したいと考えている方はこの入試方法が良さそうですね。
外国語型
試験科目 | ・外国語(学習言語)作文/40 分 ・日本語作文(または日本語能力に応じた試験)/40 分 ・本人面接 日本語/10 分程度(外国語で質問する場合あり) |
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日本語や英語以外の言語でも受験ができるのは、多様な地域からの帰国生を受け入れている啓明学園ならではですね。外国語保持クラスで対応している言語だけでなく、過去には「ロシア語」「タイ語」「インドネシア語」「ヒンディー語」などでも行われた実績があるそうで、何語にも対応しているようです。
また、啓明学園の帰国生入試では、入試日に一時帰国が困難な方を対象に「オンライン入試」も実施しています。オンライン入試においても、「英語型」「日本語型」「外国語型」を選択することが可能です。
帰国生入試の条件にはあてはまらない、国内インターナショナルスクール出身者を対象に「国際生入試」というのも2月に実施しているそうです。
国際生入試
資格 | 以下のいずれかにあてはまる ① 国内インターナショナルスクール2年以上在籍している者 ② 他言語環境にある者 ③1年以上合法的にたいざいできる外国籍の者 |
試験科目 | 帰国生入試と同様 【英語型】【日本語型】【外国語型】から選択 |
学校サイト | https://www.keimei.ac.jp/jsh/ |
帰国生・国際生の皆様へ | https://www.keimei.ac.jp/global/ |
パンフレット | https://hs-heigan.com/dp/2025/keimei_Seni/#page=1 |
このように多様な入試があると、自分の力を発揮できて、とても良いですね!
どの入試を選ぶことになっても、受験対策はとても大事なので、しっかりと対策を考えて、計画的に受験に励みましょう。

- Q試験のために準備したほうがいいことはありますか?
- A
英語型・外国語型入試の作文はサンプル問題をホームページ(入試サンプル問題)で公開しています。英作文・外国語作文では「複数の答え」が成り立つものがテーマとなっています。サンプル問題を参考に、論理的に自分の考えを述べる練習を重ねていくと良いと思います。日本語型入試は一般入試に準じますので、過去問をご活用ください。
- Q国際英語クラスにいる生徒さんの英語力はどの程度のレベルですか?
- A
中学で英検2級、高校で英検準1級というレベルの生徒が多いです。現地の教材を用いたネイティブ教師による欧米型授業では、読書量が多く、ディスカッションやエッセイ、授業への参加度などが評価の対象となります。
本校でよりよく学んでいただくためにも、入学前から、日々の生活で、たくさんの英語に触れること、洋書に親しんでおくことをおすすめします!
啓明学園中学の編入入試について
啓明学園中学での2024年の編入試験日程は以下の通りです。
第1回 | 7/19(金) |
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第2回 | 8/23(金) |
第3回 | 12/21(土) |
第4回 | 3/21(金) |
日程は上記のように定めてはいますが、なんと!
啓明学園中学では、学期途中の編入の場合や、上記日程で都合がつかない場合にも随時編入試験も実施しています!
急に帰国が決まってしまってお困りの方には、随時編入実施というのは安心できる要素の一つなのではないでしょうか。
ご希望の方は、国際教育センターまでお問い合わせください!
学校へメール | kokusai_info@keimei-std.jp |
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学校へ電話 | 042-541-1003 |
啓明学園中学のまとめ
啓明学園中学はいかがでしたか?
帰国生が多い啓明学園中学は、英語に限らず、しっかりとサポートをしてくれる学校です。
入試は様々な種類があり、帰国生の得意とする英語を利用できるものが3種類あります。それぞれのタイプで自分にあった試験を選択して勉強しましょう。