渋谷教育学園渋谷中学・高等学校(以下、渋渋)は、東京都渋谷区にある共学の中高一貫校で、千葉にある渋谷教育学園幕張中学校・高等学校は姉妹校にあたります。
渋谷教育学園両校は帰国子女入試の最人気・最難関校のひとつです。
渋谷教育学園は自由な雰囲気の中、自ら調べ自ら考える人材・国際社会で活躍する人材の育成を目指しています。
帰国子女の受け入れをしており、国際色豊かな学校生活を送った学生は国内外で優秀な進学実績を残しています。
今回はこの帰国子女にも人気の高い渋渋について見ていきます!
後半では渋渋の入試英語の傾向も紹介していますので、この学校に興味がわいた方はぜひチェックしてください!
基本情報
学校名 | 渋谷教育学園渋谷中学高等学校 |
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住所 | 東京都渋谷区渋谷1-21-18 |
TEL | 03-3400-6363 |
HP | https://www.shibushibu.jp/ |
学齢 | 中学1年生〜高校3年生 |
アクセス | 渋谷駅より徒歩7分 |
教育目標
まずは、渋渋の3つの教育目標を確認しましょう。
- 自調自考
- 国際人としての資質
- 高い倫理感
「自調自考」は渋谷教育学園全体で大切にされている考えで、文字通り、自分で調べ考える人材になるという目標です。
変化の激しい21世紀においては、多様な人々と協力し合いながら課題を解決していく力が要求されます。そのため、教えてもらうことを待っているだけでは不十分であり、与えられた知識を深化させ、更なる知識につなげることが重要です。
学習面においては、生徒はただその日の授業を受けるだけでなく、シラバスを活用することで全体のどのあたりを学習しているか把握し、学んでいることが社会のどのようなことにつなげられるかを考えながら学びます。
このように生徒たちは自調自考を実践しながら積極的に学習する姿勢を身につけていきます。
さらに、文化や言語・考え方がちがう人とともに生活をともにするうえで必要となる国際的な視点を身につけ、誠実で思いやりのある人を目指します。
国際理解
国際人を目指す渋渋では、国際理解のために帰国生受け入れ以外にも様々な制度が用意されています。
第二外国語
中学3年生から希望者は英語以外に中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語をネイティブ講師と一緒に学ぶ機会があります。
海外研修 / 留学・留学生受け入れ
希望者は中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修に参加することができます。これらの研修では若者同士の交流を目的とし、異文化理解や語学研修など様々な経験を通して交流の輪を広げていきます。
さらに、渋渋は世界各国から留学生を受け入れており、高校生では1年間の海外留学をする生徒もいます。この留学では、1年間の留学中に取得した単位が留学単位として認定されます。
模擬国連部
国連の仕組みと各国の立場を学んで国際問題への関心を高める試みが行われています。渋渋は全日本高校模擬国連大会や日本代表としてニューヨークで行われる高校模擬国連国際大会に参加しています。
ユネスコスクール
渋渋はユネスコスクールに認定されています。これはユネスコ憲章の理念を実践するためグローバルなネットワークを活用し、地球規模の課題に若者が対処できるような新しい教育内容や手法の開発、発展を目指している学校のことです。
- 帰国生・留学生の受け入れ
- 1年間の留学
- 海外研修と英語以外の第二外国語
- 模擬国連とユネスコスクールでの国際社会への興味
学習の特色
前述の通り、渋渋では自調自考のポリシーのもと、シラバスで学生自身が学習進捗を確認したり、学んでいることの意味を考えたりしています。
その他にはどのような学習上の工夫があるのか確認していきましょう。
少人数制授業と探求型学習
中学1・2年生を中心に少人数制クラスで授業が進められ、グループ学習やプレゼンテーションで各生徒が自分の考えを共有しやすいように工夫されています。
その他、洋書の多読に取り組んだり、地理でフィールドワークを行ったりと様々な体験を通して好奇心が刺激されるような授業が用意されています。さらに、体育の授業では集団行動の中での協調性を学び、心身共に成長することを目的としています。このように渋渋生は座学だけでなく実技科目にもしっかり力を注ぐ雰囲気があります。
英語教育
次は国際性を育むのがひとつの目標である渋渋の英語教育はどのようなものかを見ていきましょう。
英語
英語を学ぶのはもちろんのこと、「英語で学ぶ」ことを意識したカリキュラムが組まれており、ネイティブ講師がエッセイを指導したり、中学生がレシテーション・スピーチコンテストに参加したりしています。
特に、英語を通し学問的・実践的なスキルを習得することを目標に、的確な情報収集、客観的・論理的な思考と議論、適切な情報発信のための能力を養います。
帰国英語
帰国英語ではネイティブ教員が中心に授業を担当し、北米の学校に近いスタイルで授業が進められます。
英語でのクリティカルシンキング能力を高めるために、文学・詩歌・戯曲・評論など幅広いジャンルの英文に触れ、それに関する討論・エッセイ・レポートに取り組みます。さらに、学期ごとのタームペーパーも書き上げます。
これに加え、世界史・国際情勢・文化論などもあわせて学習し、バランスよく国際感覚を身につけられるように工夫されています。
補習
各教科で必要に応じて補習のフォローをする体制が整っており、中学1・中学2年生に対しては指名制の補習が実施されています。
自調自考論文
自調自考の集大成として高校1・2年生では自調自考論文の執筆を行います。生徒は自身で集めた資料に基づき論理的に自分の考え・見解をまとめ10,000字ほどの文章を書きます。
この論文執筆時には、アドバイザーと面談できたり、ライティングセンターでアドバイスをもらえたりするのに加え、ゼミ中間発表で他の生徒から客観的なフィードバックをもらうこともできます。
このようなプロセスを通して、生徒は自分の調べていることにどのような意味があるか、どのように執筆を進めていくかなどを考える機会を得ます。
- グループ学習やプレゼンを通した少人数制授業と探求型学習
- 実践的な英語学習とクリティカルシンキング
- 必要に応じた補習
- 自調自考のプロジェクト
卒業後の進路
国際性と自調自考を培う教育を受けた渋渋の生徒は国内外で優秀な進学実績を残しています。
- 東京大学
- 東北大学
- 上智大学
- Columbia University
- Princeton University
- 京都大学
- 早稲田大学
- 国際基督教大学
- Cornell University
- Stanford University
- 北海道大学
- 慶應義塾大学
- 明治大学
- Harvard University
- Yale University
有名国立大学をはじめ、医学科や芸術大学への進学実績もあります。さらに、海外の様々な大学に進学実績があり、特にアメリカへの進学が多くなっています。
帰国生入試受験情報
受験基本情報
帰国生受験資格を得るためには、試験日までに海外在留2年以上、帰国後2年以内であることが条件となっています。この条件に当てはまらなくても近い場合は、別途学校にご相談ください。
基本条件 | 試験の年の3月に小学校卒業見込みの者またはそれに準ずる者 試験日までに海外在留2年以上、帰国後2年以内の者 ※この資格に近い場合は応相談 |
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募集定員 | 第1学年(中学1年生)男女 計12名 |
出願期間 | 1月上旬〜1月下旬 |
入試日時 | 1月下旬 |
試験科目
試験科目は、英語を含む方式と英語を含まない方式があります。
英語 | 国語 | 算数 | 英語面接 |
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100点 / 60分 | 100点 / 50分 | 100点 / 50分 | – |
または
作文 | 国語 | 算数 | 面接 |
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20点 / 60分 | 100点 / 50分 | 100点 / 50分 | – |
渋渋は中高一貫校なので高校入試はありません。
試験は英語を含むかに関わらず、3教科受験であることに注意が必要です。国語は基本的な読み書きや漢字の習得、算数は基本計算力や日本のカリキュラムに合わせた勉強が必要となり、両方対策にとても時間がかかることが多いです。
それに加え、英語もしくは作文の勉強をしなければいけないので、勉強は計画的に早めに始めるようにしてください。
英語の試験内容
次は渋渋受験にどれくらいの英語力が必要とされるかを見ていきましょう。
まずは、前述の通り渋渋は英語ありの方式と英語なしの方式が選択できるため、英語を避けて受験をすることも可能です。
では、英語ではどのような問題が出題されるのでしょうか。
- Listening Comprehension
- Critical Reading Questions
- Word Formation Questions
- Vocabulary Questions
- Short Answers
Listening
長めのパッセージが2回流され、そのあとに10問の選択肢問題に答えます(リスニングの途中でメモを取ることは許可されています)。問題用紙には問題の記載はなく、選択肢だけが記されています。
Critical Reading Questions
こちらはいわゆる長文読解問題です。渋渋では論説文のような文章より、物語のような文章が出題される傾向にあります。
普段、リーディングスキルを向上させるために英検やTOEFLで学習しているお子様も多いかもしれませんが、このような試験では物語は基本的に出題されないため、別の対策が必要となります。
渋渋のリーディングは選択肢問題ですが、単に本文の内容を理解して正しい内容のものを選べばいいだけではありません。
特定の人物に対して筆者がどのような態度を示しているかを考えさせたり、フレーズのチョイスなど筆者がどうしてその言葉遣いを選んだと思うかを答えさせたりします。
文章自体も難しいですが、本文に直接書いていないことを文脈やその他の内容を手がかりに読み解く能力が要求されます。
Word Formation Questions
この問題はリーディングのパッセージから単語が取り上げられ、その単語が別の文に当てはまるように正しい活用に直すというものです。
英語圏で自然に英語を身につけたお子様の中には活用などの文法が苦手な方もいらっしゃると思いますので、早い段階から品詞や活用という概念を学んでおくとよいです。
Vocabulary Questions
ここでは、本文から抜き出された単語の意味を答えます。回答形式は選択肢問題なので自分の言葉で説明する必要はないですが、出題される単語自体が英検準1級から1級レベルで難しく、普段から語彙を鍛えておく必要があります。
本文にある単語の意味を答えるので文脈をヒントにすることもできますが、本文自体がとても難しいパッセージですので、語彙力と読解力の両方をバランスよく伸ばすことが大切です。
Short Answers
この問題は短いライティングです。1段落か2段落で自分の意見をまとめる問題が2題出題されます。
1つは、提示された問いに対し自分の意見を根拠を示しながら答えるというものです。
もうひとつは詩の分析です。ここでも根拠を示しながら自分の考えを述べることが要求され、必要であれば言葉の選択や詩の技法について言及するようにと問題文に書かれていることがあり、それだけ深い分析を要求しているのがわかります。
ここでは長い文章を書く必要がないので、ライティングが得意でないと思っている方には取り組みやすいように感じるかもしれませんが、実はというと、ライティングは短くなるほど難しくなります。
長い文章を書いていいのであれば、たくさんの言葉を用いて自分の伝えたいことを書けますが、短い文章の場合は表現もかなり慎重に選び、効果的な書き方をしなければなりません。
さらに、渋渋のように単に自分の意見を自由に書くのではなく、根拠まで示すことを明示的に要求している場合はさらに難しくなります。短く書いたからといって論理が飛躍している文章を書いてはいけませんし、短く書こうとするあまりに分析が浅いとみなされることも避けるべきでしょう。
ライティングには効果的な書き方がありますが、それを習得するまではどのように書けばよいかわからずに最初の1文すら書けないということがよく起こります。
しかし、逆の見方をすればライティングには型を身につけるというわかりやすい目標があります。これには時間はかかりますが、じっくり取り組めば到達できるものです。
ライティングはすぐに身に付くスキルではないので早めに対策を開始しましょう。
- 英検準1級レベルやそれ以上の単語や知識が登場する
- 選択問題でも本文に直接書いていないことを推測したりと深い分析力が試される
- 自分の考えを根拠を持って短くまとめる能力が要求される
さいごに
いかがでしたか?
渋渋は自調自考をモットーにしているだけあって、カリキュラムのいたるところにそれを感じさせるだけでなく、受験問題にまでそれが現れているように思われます。
単なるテクニックだけとして受験勉強ではなく、普段から自ら調べ考える習慣をつけることで、受験にも受験後にも役立つスキルが身につくのが渋渋の受験対策かもしれません。
入学後も国際色豊かな環境で国内外問わずに様々な体験や進学先を模索できるのもこの学校の特徴です。
興味が湧いた方は対策への第一歩を踏み出しましょう!
- 自調自考をモットーにした自由な校風の学校
- 帰国生英語は北米の学校の様式で実践的な学習
- 国内外を問わない多様な進学実績