前回の記事では、Alevel Japaneseの概要について解説しました。
日本語を母語とする、あるいは高い運用能力を持つ生徒さんにとって、Alevel Japaneseは高いスコアを狙いやすく、大学入学資格であるUCASポイントを効率的に獲得できる貴重な選択肢です。しかし、ネイティブだからといって対策なしで最高評価のA*が取れるほど、この試験は甘くありません。論理的な読解力、高度な翻訳技術、そして特定の社会テーマに基づいた深い洞察が求められるからです。
本記事では、Pearson Edexcelが提供するAlevel Japanese(Level 3 Advanced GCE in Japanese)の出題内容や評価基準、具体的な試験構成について、日本語で丁寧に解説します。

TCK Workshop プロ講師。上智大学文学部哲学科卒業。高校1年生から3年半を「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーで過ごす。 哲学科で培った高度な論理的思考力を指導に活かし、志望理由書、小論文、面接など、「自身の考えを言葉にする力」が問われる受験科目を専門とする。また、帰国後の国語(現代文、作文)指導にも定評がある。
TCK Workshopの無料学習相談では、お子様の現在の日本語力に合わせて、Alevel Japaneseで最高評価を目指すための個別カリキュラムを提案しています。試験対策の進め方や、自由研究のテーマ選びに不安がある方は、ぜひ一度プロのアドバイザーにご相談ください。

Alevel Japaneseは、単に日本語が話せるだけでは不十分で、英語と日本語を双方向に操る高度な翻訳力や、日本社会に対する深い洞察が求められます。早めに試験の全体像を把握し、自分に合った研究テーマを見つけることが成功の第一歩となります。
- Alevel Japaneseの全体像と試験の基本ルール
- 各ペーパーの詳細な出題内容
- 学習の軸となる4つのテーマと自由研究の課題
- 指定されている文学作品と映画のリスト
- Alevel Japaneseで高評価を獲得するための具体的アドバイス
- TCK WorkshopによるAlevel Japanese対策ソリューション
- まとめ
- 参照
Alevel Japaneseの全体像と試験の基本ルール

Alevel Japanese(Pearson Edexcel)は、主にリスニング、リーディング、ライティングの3つのスキルを測定する3つのペーパーで構成されています。試験は毎年5月または6月に実施され、すべてのペーパーを同一年度に完了させる必要があります。また、試験中に辞書を使用することは一切認められていません。指定される作品リストは毎年同じものが指定され、リストが変わる場合は、数年前から「〇年からはこの作品が除外され、この作品が追加される」といった予告が公式(Pearson Edexcel)から出されます。
まずは、各ペーパーの配分や試験時間を確認してみましょう。
| 項目 | Paper 1 | Paper 2 | Paper 3 |
| 正式名称 | Translation into English, reading comprehension and writing (research question) | Translation into Japanese and written response to works | Listening, reading and writing |
| 試験時間 | 2時間30分 | 2時間40分 | 2時間15分 |
| 配点比率 | 全体の40%(80点) | 全体の30%(110点) | 全体の30%(60点) |
各ペーパーの詳細な出題内容
Paper 1: Translation into English, reading comprehension and writing (research question)
このペーパーは配点比率が40パーセントと最も高く、合否を大きく左右するセクションです。
Section A: Translation into English
初見の日本語の文章を英語に翻訳します。日本語のニュアンスを正確に汲み取った上で、アカデミックで自然な英語に落とし込む力が必要です。
Section B: Reading
様々なジャンルのテキストを読み、読解問題に回答します。情報の取捨選択や、著者の意図を正確に把握する力が問われます。
Section C: Writing (research question)
事前に自分で選んだResearch subject(研究課題)に基づいた問題です。試験当日に提示される短い文章を読み、自分の研究成果を組み合わせてエッセイを書きます。
Paper 2: Translation into Japanese and written response to works
日本語での表現力と、文学や映画に対する深い理解が求められるペーパーです。
Section A: Translation into Japanese
英語の文章を日本語に翻訳します。自然な語彙や文法、敬語の使い方などが正確に保たれているかが評価のポイントとなります。
Section B: Written response to works (literary texts)
学習した文学作品についてエッセイを書きます。2つの設問から1つを選びます。
Section C: Written response to works (films)
学習した映画についてエッセイを書きます。Section Bで2つの文学作品について回答した場合は、このSection Cを解く必要はありません。基本的には文学作品2つ、または文学作品1つと映画1つの組み合わせで学習を進めることになります。
Paper 3: Listening, reading and writing
リスニングと情報の要約力が問われるセクションです。
Section A: Listening comprehension
日本人男女の会話や音源を聴き、設問に答えます。様々な文脈や情報源からの出題があるため、幅広いトピックの語彙に慣れておく必要があります。
Section B: Listening, reading and writing question
同じサブテーマに基づいたリスニング音源とテキストを使い、それらを要約した上で、提示されている視点について自分の意見を論理的に述べます。

試験で扱われるテーマは、現代の日本社会が抱えるリアルな課題ばかりです。これらのトピックについて日頃から日本語のニュースや記事に触れ、自分の意見を言語化しておく習慣をつけることで、エッセイの質が格段に向上します。
【関連記事】Alevelの年間学習スケジュールについてはこちらもご覧ください。
2026年度試験(新制度)の決定的な違い
2026年5月・6月の本番から、Pearson Edexcelは「受験生の日本語力(特に書く力)の負担を調整し、純粋な理解力を測る」という方針にシフトしました。
| セクション | 旧制度(〜2025) | 新制度(2026〜) |
| Paper 1 Section B(読解) | 設問・回答ともに日本語 | 設問・回答ともに英語のみ |
| Paper 2 Sections B・C(文学・映画) | 設問のみ日本語 | 設問が日本語と英語の併記 |
| Paper 3 Section A(リスニング) | 設問・回答ともに日本語 | 設問・回答ともに英語のみ |
学習の軸となる4つのテーマと自由研究の課題

試験のすべてのペーパーは、以下の4つのテーマに基づいて構成されています。
| テーマ | サブテーマ (a) | サブテーマ (b) | Research topic (自由研究課題) |
| 1. Changing lifestyles of Japanese youth | 教育制度や改革、試験と塾、文科省のカリキュラム管理 | 若者の健康(身体・心理)、プレッシャー、食生活、いじめ | 家族関係や人間関係:伝統的な家族、核家族、家庭内の人間関係 |
| 2. Changing society | ポピュラーカルチャー:アニメ、漫画、音楽、武道 | テクノロジーの影響:技術進歩、ロボット、オートメーション | 変わっていく行事:伝統的な祭り、観光業の影響、西洋行事の流入 |
| 3. Changing values | 変化する労働:終身雇用の崩壊、意識の変化、仕事のための移住 | 長引く不景気:日常生活への影響、政府の対応、経済の国際化、外国人労働者 | 高齢化社会:高齢者の孤立、家族からのサポート、社会的支援 |
| 4. Japan in the wake of the 2011 Tohoku Earthquake and Tsunami | 3月11日とその直後:震災・津波の被害、避難生活、救出と援助、海外の反応 | 復興政策:被災地の立て直し、ボランティア、困難を乗り切る力、心のケア | 福島原発事故後の省エネ:日常生活の省エネ、エネルギー供給、昔の知恵 |
Paper 1のSection Cでは、上記のResearch topicの中から1つを選択し、深く掘り下げておく必要があります。
指定されている文学作品と映画のリスト
Paper 2の対策として、以下のリストから2つの作品を深く分析しておく必要があります。
| ジャンル | 指定作品名 |
| 文学作品 (Literary texts) | どんどん読めるいろいろな話 1991 (短編集) |
| 文学作品 (Literary texts) | キッチン(吉本ばなな、1998)(第一部のみ) |
| 文学作品 (Literary texts) | 窓際のトットちゃん(黒柳徹子、1991) |
| 映画 (Films) | 千と千尋の神隠し(宮崎駿監督、2001) |
| 映画 (Films) | ディア・ドクター(西川美和監督、2009) |
| 映画 (Films) | 誰も知らない(是枝裕和監督、2004) |

日本語が「得意」という自信を、試験での「得点力」に変えるには、特有の採点基準を理解することが不可欠です。特に翻訳セクションでは、直訳ではなく、前後の文脈を捉えた表現を心がけるようにしましょう。
【関連記事】Alevelの日本人ならではの対策についてはこちらもご覧ください。
Alevel Japaneseで高評価を獲得するための具体的アドバイス

Alevel Japaneseの出題内容を把握したところで、実際にどのように対策を進めるべきか、専門的な視点から詳しく解説します。
双方向的な翻訳スキルを磨く
Paper 1とPaper 2の両方に含まれる翻訳問題は、多くの生徒さんにとっての難所です。英語から日本語へ、あるいは日本語から英語へ訳す際、単語の意味を繋げるだけでは「不自然な文章」になってしまいます。
例えば、Pearson Edexcelのガイドラインでも重視されているのは、原文のトーンを維持しつつ、ターゲット言語として自然な文章を構成する能力です。これは単なる語彙力の問題ではなく、両方の言語の構造的な違いを理解しているかどうかが問われます。
日常的に両方の言語でニュースを読み、同じトピックがどのように表現されているかを比較する学習が非常に有効です。具体的には、日本のニュース記事とBBCなどの英語メディアの記事を読み比べることで、政治や経済といった硬いトピックにおける適切な言い回しを身につけることができます。
自由研究(Research Subject)を戦略的に進める
Paper 1のSection Cは、事前の準備が合否を分けると言っても過言ではありません。自分が選んだ研究テーマについて、事実関係を把握するだけでなく、多角的な視点から分析を行う必要があります。
例えば「高齢化社会」を選んだ場合、単に「高齢者が増えている」という事実だけでなく、それに対する政府の施策や、地域社会での孤立を防ぐ取り組み、さらには家族のあり方の変化まで網羅的に調査することをおすすめします。
試験当日には、初見の短いテキストが提示されます。自分の研究成果を単に書き並べるのではなく、そのテキストの内容と自分の知識をいかに融合させて、論理的な一貫性のあるエッセイを組み立てられるかが、高評価への鍵となります。
文学作品と映画の深い分析が必要
Paper 2のエッセイでは、作品のあらすじを説明するだけでは高い評価は得られません。登場人物の心理描写、作品の時代背景、監督や著者が伝えたかった社会的なメッセージなどについて、論理的な証拠(Evidence)を挙げて論じることが求められます。
例えば「千と千尋の神隠し」を扱う場合、ファンタジーとしての面白さだけでなく、当時の日本社会における労働観やアイデンティティの喪失といったテーマについても考察を深めておくことが重要です。
アカデミックな日本語語彙を拡充しましょう
Alevel Japaneseで扱われるテーマは、社会問題、経済、テクノロジー、震災など、非常に広範です。日常会話で使う日本語だけでは、これらのトピックについて記述したり議論したりするには限界があります。
専門用語を正確に使いこなすためには、テーマに沿った語彙リストを作成し、それを実際の文章の中で使えるように練習することをおすすめします。
例えば、Paper 3の要約問題では、聴き取った内容をそのまま書き写すのではなく、自分の言葉で適切に言い換える(Paraphrasing)力が試されます。類義語の習得や、抽象的な概念を具体的に説明する練習を繰り返すことで、リスニング・ライティングの両面でスコアを伸ばすことができます。
TCK WorkshopによるAlevel Japanese対策ソリューション
英語・日本語バイリンガルでの翻訳指導
日本語のニュアンスは分かっても、それを適切な英語で表現できない、あるいはその逆という悩みは多くの受講生が抱えています。TCK Workshopの講師は、両言語のアカデミックなルールを熟知しているため、試験で減点されない「洗練された翻訳技術」を伝授します。
論理的なエッセイライティングの徹底強化
Alevel Japaneseは、知識量だけでなく「論理の組み立て」が厳しく評価されます。TCK Workshopでは、作品の深い読解をサポートすると同時に、日本語での「小論文・エッセイ」の構成方法を基礎から指導しています。特に帰国生の皆さんは、日本語での論理展開(序論・本論・結論)の型を身につけることで、記述問題での失点を防ぐことができます
作品分析とクリティカルシンキングの養成
指定作品(文学・映画)を単なるエンターテインメントとしてではなく、批評の対象として捉える視点を育てます。作品の背景にある日本文化や社会情勢を講師と共に議論することで、独自の深い考察ができるようになります。
志望校合格を見据えたトータルコーチング
Alevel Japaneseは、大学進学のための1つのステップです。他の科目とのバランスや、UCASへの出願、さらには日本の大学への帰国生入試も見据えた、長期的な学習戦略をプロの学習アドバイザーが提案します。
まとめ
Alevel Japaneseの出題内容と対策のポイントを振り返りましょう。
・試験はPaper 1から3の3部構成で、翻訳、読解、研究、作品分析、リスニングを網羅します。
・辞書の使用は一切認められないため、高い語彙力と正確な記述力が求められます。
・4つの主要テーマに基づいた、日本社会に対する深い理解と洞察が必要です。
・自由研究(Research Subject)では、事前の綿密な調査と当日のテキストとの融合が鍵となります。
・文学作品や映画の分析は、あらすじ説明ではなくクリティカルな考察が必須です。
お子様の日本語力を確実に「武器」に変え、自信を持ってイギリスや日本の大学受験に臨めるよう、まずは一歩踏み出してみることをおすすめします。
TCK Workshopでは、Alevel Japaneseで最高評価を目指す生徒さんを全力でサポートしています。「研究テーマが決まらない」「日本語の記述が苦手」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度私たちの無料学習相談をご利用ください。世界中どこからでも受講可能なオンライン個別指導で、あなたの目標達成をバックアップします。
参照
9JA0/03 – Pearson qualifications

