帰国生が英語試験対策で苦労するポイント
帰国子女高校入試の英語試験に出題される問題の形式は様々です。
読解問題、文法問題、英作文 など、日本の高校受験生が当たり前のように普段から対策している内容でも、帰国生の生徒さんにとっては、現地校やインターナショナルスクールでの英語試験と異なり、戸惑ってしまう生徒さんも少なくありません。
とはいえ、帰国子女高校受験で求められる英語レベルそのものは、海外で学校生活を送られている生徒さんに取っては、決して高いとは感じないはずです。
内容的に決して難しくないからこそ、問題形式にしっかりと順応して、本番試験では高得点を狙いにいく必要があります。
Reading comprehension, Essayそれぞれ対策の難しさがあり、これらは受験する学校の傾向に合わせて準備を重ねておくべきですが、その中でも帰国生の生徒さんは文法問題に苦労されているケースが多いです。
多量の英語を日常的に浴びることで、耳や口から習得してきた、いわゆる感覚的な英語は、 細かなロジックを必要とする文法問題には弱いです。
（私たちも日本語の細かな文法を説明しろ、と言われてもなか難しいことがあるのと同じですね。）
ただ受験の英語や日本の高校のカリキュラムひいては日本の大学受験では、英語学習における英文法の割合が高く、高校受験でも出題配点は高くなります。
今回はその中でも、帰国生の生徒さんが最も苦労するタイプの
- 文法問題
- 誤文訂正問題
に焦点を当てて、渋谷教育学園幕張高等学校で2016年に出題された問題を解説していきます。
今回の一問は渋谷教育学園幕張高等学校の2016年の過去問から
- Mark has planned a trip to France, Italy, and Germany after he graduates from university, because he never went to Europe.
さてどこが間違っているかわかるでしょうか？
ぜひ一度手をとめて考えてみてください。制限時間は1分です。
受験英語では、「誤文訂正問題」と言われるジャンルの問題になりますが、このタイプの問題を正確に解答するには、文法・語法の正確な知識が必要です。
まずは必要最低限の文法・語法の知識を身につけ、その上で、誤文訂正問題に出題される問題ポイントを身につける必要があります。
誤文訂正問題は、すぐにコツをつかむ生徒さんもいる一方で、最後の最後までポイントに気づけない生徒さんも多く、得意不得意が明確に別れる分野ですので、受験を検討している学校で出題がある場合は早め早めに対策することが得策です。
「現在完了形」身についていますか？
本問題は誤文訂正問題の問題パターンの中では難易度は最低ランク、必ず得点しなければいけない問題です。
いくつか誤文訂正問題に取り組んでもらう際の確認事項がありますが、その一つが「現在完了形」です。
現在完了形とは、「現在にいたるまでの状況について表現するとき」に使用します。三つの用法があるので、確認していきましょう！
| 使用方法 | 例文 | |
|---|---|---|
| 経験用法 | ある行動を経験したことについて | She has been to Italy twice. |
| 継続用法 | ある行動を今も続けていることについて | She has studied Italian for 10 years. |
| 完了用法 | ある行動をすでに終えたことについて | She has already done her task at work. |
現在完了形の形は、
- 「have/has + 過去分詞」
です。
動詞にはそれぞれ過去分詞があるので、辞書の細かいところまで見て、確認してみてください。
本問題の正解はなんでしょうか？
正解は
- Mark has planned a trip to France, Italy, and Germany after he graduates from university, because he never been to Europe.
ですね。
「Markはヨーロッパに今までにいったことがない」としたいので、becauseの後は
- ”he has never been to Europe.”
が正しいんです。
しかし、皆さんの中には、「”he has never gone to Europe”ではないか？」と思う方もいるかと思います。なぜならgoの過去分詞は”gone”ですもんね！
なぜ不正解なのでしょうか？
分かりやすくするために、「彼はヨーロッパにいったことがある」という文章を作りたいと思います。
- “He has gone to Europe.”
- “He has been to Europe.”
1と2どちらが正解でしょうか？あるいは、両方正しいでしょうか？
1の文章では彼がヨーロッパに行ったきりで、帰国していないというニュアンスになってしまいます。ですので、正しいのは2の”He has been to Europe”です。
誤文訂正問題対策はお早めに！
いかがだったでしょうか？
前述した通り、誤文訂正問題は得意不得意のわかれる、つまり英語の得意な生徒さん同士の戦いでもある帰国子女入試において点数の差がつきやすい単元ともいえます。
文法や語法の知識は一度身につけてしまえば、読解問題やEssayでも利用でき、結果的に英語力の全体的な向上につながります。
- 受験校に誤文訂正問題が出題されるひと
- これまであまり文法学習をしてこず、感覚的に英語を学んできたひと
- 高校受験で英語を武器にしていきたいひと
どれかに当てはまる人は、ぜひ文法をしっかりと学んで、誤文訂正問題を得意にしてください。
